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人生自分満足可其充分
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「え、ルルーシュ僕の父さんに会ったことあるの?」
購買で購入したライスボールの米粒を口端につけながら、異例の編入生枢木スザクは驚いたような顔をした。ルルーシュはそれを何かの冗談だろうと呆れながらフォークを止める。
「何言ってるんだ。お前一緒に住んでたろう」
スザクは更に首を傾げた。
「もしかして藤堂さんと勘違いしてる?あの人は違うよ」
剣道の先生だって、ルルーシュも知ってるだろ?とスザクは笑う。ルルーシュは思わず顔をしかめた。この男はこういう下らない冗談は言わないはずで、それにスザクは父ゲンブを敬愛していたように見える。だから尚のこと、スザクのその態度は明らかにおかしい。
「スザク、お前父親の名前知ってるか」
「枢木ゲンブでしょ」
なんだ、やっぱり冗談なんじゃないか、とルルーシュはため息をつき、また食事を再開した。
「どんな人だった?」
この話はもう終わりだと思っていたのに、スザクは興味津々とばかりにルルーシュを覗き込んでくる。さすがにルルーシュもこんなくだらない会話を続けるなど馬鹿らしいと思い、鬱陶しい、とスザクの頭を押しやった。
「からかうのはいい加減にしろ。俺を騙したいならもう少しマシな嘘をつけ」
「まさか、騙すだなんて」
スザクはきょとんとしながら誤解だよと言う。それだよそれ。
「今進行形で騙しているだろうが。大体ゲンブさんに会ったことがないって、お前なあ。子供でもまだマシな嘘をつくぞ」
「嘘じゃないって!ルルーシュこそ何言ってるんだよ、一緒に暮らしてたのは父さんじゃなくて母さんだろう」
ルルーシュの方が僕を騙そうとしてるじゃないか、とスザクは興奮して声を荒げた。その激しさに気圧されそうになるが、七年前の自分ではない。それに、正しいのはこちらなのだ、気負う理由もない。
「いい加減にしろ。もうこの話は止めだ…」
「ルルーシュが先に言い出したのに狡いよ。嘘つきなのはそっちじゃないか」
この期に及んでまだ言うか、とルルーシュはスザクを睨みつけるが、スザクの方も負けじと眼光を光らせている。
最初は子供じみた意地だとあしらっていたが、スザクの真剣さを見るに、とても嘘をついているようには見えない。
まさか、と思いつつも、ルルーシュは口を開いた。
「本当に知らないのか」
「だからそうだって言ってるだろ。両親は離婚して、僕は母方の枢木に引き取られて、そこに君とナナリーが来たんじゃないか」
忘れたのかい、とスザクは心底呆れた。ルルーシュは呆然とそれを聞いて、おかしい、と反論しようと口を開きかけたが、スザクの目が嘘を言っているとは思えなくて口を噤む。
七年前、皇帝に捨てられた自分とナナリーを取引として受け入れたのは紛れもない、当時の首相枢木ゲンブだ。彼の実家の枢木神社に身を置くことになり、それからスザクと一悶着しつつ交流を深めた。しかし、そこにスザクの言う母親の影などない。事実、当時のスザクは父親しかいないと言っていたし、ゲンブが仕事から帰ってくる時間になると何を置いても彼は家に帰り挨拶に向かっていた。彼は、ルルーシュには父親のことを誇りに思っていたように見えたのに、それが全部、根本から違っている。

異常だ。

それは自分なのか、スザクなのか。
「ああ、そうだったな。ごめん」
ルルーシュは当たり障りのない嘘をついて笑った。スザクも漸くわかったかと納得したようで、またライスボールを頬張りだした。



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異常なのはスザク。
このあとルルーシュはナナリーに確認して自分が正しいことがわかります。
スザクがアーニャ的な存在なら陛下のギアスも納得いったのになあ。
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