憎悪で燃えている碧色が、真っ直ぐに赤銅色へと暴力を叩きつける。
なぜ。どうして。敵じゃなかったのに。どうして殺したんだ。
どうして。
「どうしてなの、ソラン」
父さん。母さん。
ああ、どうして。俺はあの時貴方たちを殺してしまったのか。
母さん。
今ではもう貴方の怯える顔しか思い出せない。貴方を「母さん」と呼んでいた記憶すらもう霞んでしまっている。
それなのに、思い出すのは貴方の怯える顔だけなんだ。貴方たちを犠牲にして参加したはずの「聖戦」の記憶は、まるで記録のようにしか残っていない。それはあの時俺がただ機械のように戦っていたからだろうか。
どうして、俺は貴方を殺してしまって、貴方の笑顔が思い出せないんだろう。
「……アニュー…ッ」
奪われた痛み。理不尽な死。遺された者の悲しみ。四年前、漸く実感できたものだ。
胸が張り裂けるほど痛かった。それを今、目の前の男も感じている。家族を失ったときも、そうだったのだろう。
その痛みは俺には理解できても、おそらくは共感とは程遠い、とても崇高な感情なように思える。
後にも先にも、俺がその感情を実感したのは、ロックオンという存在を喪ったときだけだからだ。
どうして、と尋ねる声に、俺はどう答えればいい。
謝ればいいのか。「すまなかった」と。謝って、どうなる。死は覆されない。
「どうしてなの…ッ?」
あの時の母さんの問いかけに、俺は、銃弾で返してしまった。
正しい答えを見つけたことなど。
ライルの、生きる、未来を。
ああ、そうか。
そうだ。それだ。それが、答えだ。そうだな、ロックオン。
あんたの願いを、俺は継ぐんだったな。
「お前を喪うわけには、いかなかった」
生きているなら、なんでもできるさ。
親しみのある笑みを浮かべながら、あの男が言った気がした。